第1章・・・・・・様々なピアノとの出会い


第2節・・・・・色々なピアノとの出会い・・・・・これは我が人生の一つの貴重な体験であり、私の音を作り上げた大きな要因であります。なかでも重いで深いものを中心にここに記します。
ベヒシュタイン・ベーゼンドルファー・ブリュートナー・ファツィオリ・プレイエル・グロトリアン・ボールドウィン・シンメル・オーガストフォルスター・スタインウェイNY/HB・東南アジア仕様・カワイEX・カワイSKEX・ヤマハF.C/CF/CF−V/CF-VS・シゲルカワイ・RXシリーズ・ヤマハG/C/Sシリーズ・ディアパソン・ボストン・その他1800年代のピアノから最新のピアノまで、約3000台以上のピアノとの出会いと自己のピアノに対する強い思い。
選定や展示品など、過去に様々なピアノを弾きました。そこで、我家にある宝物のスタインウェイに至るまでの体験談を綴っていきます。

まず最初になぜ3000台以上ものピアノに触れたかを書かねばなりませんね。


最初の一歩はいまでもお恥ずかしい話ですが、中学1年の例のスタインウェイ衝撃事件の後に起こった出来事です。私はごく普通のサラリーマンの家庭のドラ息子だったのですが、その当時スタインウェイの総代理店であったM楽器商会へ手書きの手紙を書いたのです。その内容も

「ピアノの大好きな中学1年生です。貴社(この言い方も失礼ですね!)のピアノにとても心を奪われてしまい、毎日夢に見ております。しかし、我が家は・・・あまりにもくだらないので中略・・・私は将来ピアニストになりたいという夢があります。ですから、貴社のピアノが必要です。なんとか1台だけ安く購入させていただけませんでしょうか?」といった内容だったと思います。

買えもしないのは重々承知ということでしたが、普通なら一笑して忘れられるのがおちなんですが、なんとある日突然M社からInvitation(招待状)とカタログが来ました。M楽器商会に是非遊びに来て、好きなだけ弾いてくださいということだったと思います。そして怖いもの知らずの私はそそくさと地下鉄を乗り継いで親には内緒で出かけて行きました。その時、その手紙を見せたらお店の方が、「待っていました!」とずうずうしい私にある部屋に案内してくださり、初めてスタインウェイだらけのお店のピアノを片っ端から紹介してくださったのです。そしてミラクルがもう1つ!

それは、当時アレクシス・ワイセンベルグというピアニストが日本公演で演奏会に使用するために選定をしたDモデルが選定室に確か4台あり、そのピアノを思う存分弾いていいと許可をくださったのです。人生初のDモデル!!!もう有頂天で、ピアノ屋さんの迷惑顧みず少年(のちにそのまま中年爺となりますが・・・汗)はそれから3時間以上居座り続けたと記憶しております。この日はスタインウェイのピアノがこんなに色々な種類があり、某当時国営放送であったテレビ局で、放送時に文字に黒いテーピングをしてメーカーがわからないようにしていたピアノと同じ物が目の前に何台もあるなんて信じられないという興奮を今でも覚えております。もっぱらこのテーピングのおかげで、フレームの形とかでピアノがわかるような変な知恵まで付いたので、今となっては感謝なんですが。。。

しかし、今この場で、私の対応をしてくださったM社の方がどなただったかはわからないのですが、心からお礼申し上げます。こんな非常識に少年にも心温かく接してくださったこと感謝です!それ以来、楽器店に行けば、ピアノが弾けるという安易な考えが私の中に居座り続けました。

その後の大量ピアノとの出会いは高校時代に師事した師匠の影響でした。師匠はことあるごとに広島のとある楽器店などでピアノが入荷すると、私を連れてそのピアノ屋さんへ連れて行ってくださいました。そこには夢のピアノたちが何十台もあり、好きなだけ弾久ことができました。このピアノは「あ〜だこ〜だ!!!」などとえらそうに言っておりました。今となってはお恥ずかしい話であります。しかしそのピアノ好きが講じて、それから私の楽器店徘徊が始まるのです。

また留学時代にはウィーン市内の全ての楽器店を周り、レンタルでスタインウェイが借りれるところを探しまわったおかげで、ウィーン中で「変な日本人留学生に要注意!」などとのうわさが立つほど毎日毎日楽器店まわり。そして一時に何百台ものピアノに触り、また某有名ピアニストのザルツブルグ近郊にある山荘では、夢のような楽器の数々(今は浜松の楽器博物館にもその当時の楽器があります)に見て、触れて、おそらく高校卒業時までに1000台を有に超え、大学卒業時には1500台、留学時代で2500台、さらにはげんざいまで3000台を超える勢いで、様々な楽器を弾いてきました。

以上がまず、その成り行きです。これから、その3000台以上の中でも特に記憶に残る楽器にコメントを書いていきます。


ベヒシュタインというピアノを皆さんはご存知ですか?とても気品のある高音(それもかなり延びのある、硬質の音色)と石造りの部屋で弾くと、とても気持ちのいい音がでそうなピアノです。私は過去に様々なベヒシュタインを弾きました。1900年初期のEN(フルコンサート)、ヴィオッティコンクールの公式ピアノであった最近のEN、ケンプが弾いたといわれるB型、イョルク・デームス氏がもたれているB型。友人がウィーンで持っておられたB型。大学のレッスン室にあったもの、アップライトや小型グランドから大型まで50台は弾きました。
どれもこれも素晴らしい音色で、ペダリングは難しいのですが、操作に慣れると、どこまでも協力的になってくれる楽器でした。昔、池袋の楽器フェアでべヒシュタインブースで出店されていたものは、最近の特徴をはらんだものでしたが、ぼくは個人的には、1900年代、戦前の工場が焼ける前のころのマイスターが何人もついて丁寧につくりあげたベヒシュタインは、世界一ではないかと思います。お金さえあれば、絶対自宅に持ちたいものです。一度、音色を聞いてみて下さい。いつかは我が家にも是非!お金貯めなくては!


ベーゼンドルファー・・・・
このピアノとの出会いは、高校時代に始めて出入りしていた楽器店で出会ったのが最初です。最初からフルコンサート(べーゼンドルファーにはフルコンの上にインペリアルという長さ290センチのピアノがあります。98鍵・・・・下のCまである大型のピアノで、恐らくファツィオリの次に大きいのではないでしょうか・・・)です。高音は伸びがあまりなかったのですが、低音の鐘の音のような響きに圧倒されたのと、鍵盤が下のFまであり、低音を弾く時、危うくミスタッチしそうで、なかなか慣れないピアノでした。それから後、ベーゼンドルファーは50台以上の様々なピアノを大学時代から留学時代に弾きました。特に留学時代はウィーンの室内楽校舎の最上階にある練習室の100年近く経っているであろう?ベーゼンドルファー!ペダルの部分が金属ワイヤーでできていて、こき使われているので切れていたり、白鍵は木がむき出し、黒鍵は黒檀がどこかへ行って、白鍵と同じ高さだったりという古いものから最新の物まで、いろいろ経験しましたが、特徴として、高音部は弦の張力が強く、ハンマーも固めの物で打つような感じに対し、低音はボリュームのある、歌えるピアノが多かったのが、印象に残ります。また、浜松にあった日本ベーゼンドルファーでのショールームでは、かなり良い楽器が置いてあったので、すごくほしくなったのを覚えています。ちなみにその上階にはミニ古楽器博物館があり、様々な時代のピアノを自由に触れさせていただいたこと、とても感謝しています。今はどうしているのだろうか?あの楽器たち。。。


ブリュートナー・・・・・東ドイツライプツィヒの楽器だったでしょうか・・・。高音部に4本目の共鳴弦が張ってあり、共鳴がうまくいかないと調律師が嘆くピアノだそうです。ぼくとの出会いは、前にも書きましたがピアノの先生のお宅にありました。譜面台の両端がローソクたてのように手前に出るものでした。大きな花文字で名前が書いてあり、存在感の大きいピアノです。音は高音の音足が物凄く長い物が多く、音色はどちらかというと、ソフトですが、豊かでした。ベートーヴェンの「月光」ソナタを弾いた時に、あまりの音色の美しさにほれ込んだ記憶があります。全体的に硬いイメージはありませんでした。その後もいたるところでブリュトナーには出会いました。最近のものは昔ほど音足は長いとは感じませんが、やはり銘記だと思います。デームス先生の家にもありました。ウィーンの楽器店でヴァンデル&ラング(Wandl und Lang)社にはかなりのブリュトナーがありました。一度皆さんも弾いてみて下さい。


ファツィオリ・・・・・というピアノを皆さんはご存知ですか?イタリアのピアノです。このピアノ、ヨーロッパにいた時に始めてであったのですが、すばらしい!!の一言です。音色がものすごく奇麗です。艶やかで明るさの中に妖艶な雰囲気を醸し出したような・・・・。喩えが難しすぎますね。とても伸びやかで美しい音です。最大のフルコンサートグランドは確か3メートル以上あり、大屋根は2分割されていて、ペダルは4本。グランドピアノのペダル機構にアップライトのソフトペダルを付け加えてあり、音色を変化させずに音量をコントロールする事ができます。セミコンサイズの物も弾いた事がありますが、鍵盤が以上に重たく感じました。でも、音は恐ろしくボリュームがあり、スタインウェイ顔負けという印象でした。その後家庭にあるものなども数台弾きましたがとてもいい印象で、私の中での「いつか欲しいピアノランキング」はいつも上位です!ただ、高いし・・・。でも欲しいし。。。(昔の中学生のときの「ピアノ病が復活しそうで怖いです。。笑)


グロトリアン・シュタインヴェッグ・・・・・グロトリアンというピアノは、現在は以外に多くの場所で弾く事ができるんですよ。高音は高貴な音色、バランスの取れたいい楽器だという印象が強かったです。と過去形で書いてしまったのは、最近のピアノと古いピアノに大きな差があるように感じてしまったからです。ウィーン音大にいくつかの2m級の楽器が入っています。とくに室内楽科の授業で使う事が多かったのですが、新しい楽器はアクションの動きに違和感があり、音色は良い音が出る時が多いのに、タッチでのコントロールがつきにくかったのです。たまたまそこのピアノだけかなと思っていましたら、偶然池袋で楽器フェアーというのがあり、グロトリアンも出品されていたので弾いてみましたが、やはりアクションの動きが・・・・。同様の現象がありました。アフタータッチに関係があるのかなぁ・・・・・。難しそうというイメージが強くなってしまいました。しかし、音色はさすがドイツの名器です!!素晴らしい音がします。


スタインウェイ・ニューヨーク(その1)・・・・このピアノは、ずいぶん昔から何かと弾いてきました。まずガスホールに始まり、師匠宅(当時90年以上前のピアノなので、いま考えると、今ごろは1●●歳???孫の代まで使えるという言葉を実証しています!)のBモデル(211cm)、これはバランス感覚の優れたピアノでしたが、85鍵しかなく、上はAまででした。その後2度の留学で2回ともAモデル(188cm)のやはり同時代(当時90年くらい前)のもの、ただしこの2台は88鍵ありましたが、貸しピアノで借りていました。音は伸びきっていましたし、鍵盤の象牙や黒檀の黒鍵ははがれるしで、難ありだったのですが、「腐ってもスタインウェイ」とはよく言ったもので、音の勉強にはなりました。ちなみに交差弦や3本目のペダルなどはもうこのころの楽器から実施していましたし、スタインウェイは実に多くのパテントを取得していて、フレームに、記されているものが多いです。音の鳴りは豊かで、ニューヨーク独特の音色の美しさを兼ね備え、クラッシック以外にも様々な分野でもてはやされる楽器です。ちなみにニューヨークとハンブルグの見た目の違いは鍵盤蓋に丸味がある方がハンブルグ、角ばっているのがニューヨークです。またペダルデザインも違います。


スタインウェイ・ニューヨーク・・・・楽器自体は、音色に1つの特徴があり、まるでハンマーに毛足の長い産毛が生えていて、その1本1本が弦をさするようなとでもいいましょうか。。。ストレートな響きはなく、鮮やかさはハンブルグより少ないけど、妙に懐かしい響き、まるでセピア色の写真を見ているような感じです。古い楽器になればなるほど、それは薄れてしまいます(ハンマーの磨耗度が激しいものは音色も変化してしまい、いい音にならないのはピアノの宿命です)が、ホロビッツのピアノに代表される、艶やかな音はNYの特徴かもしれません。ただし、小さいピアノは低音はすこし深みが浅く、どちらかというと冷たい印象があります。しかしこちらはハンブルグ製よりストレートに鳴ってくる気がします。あと、スタインウェイは、材料の合理化をNY製で実施しているのか、タッチがまるっきり違うように感じます。特徴として、鍵盤蓋が角張っているのがNYでした。


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